
柱も梁も床板も造作材もすべて無垢材です。
一等材といって、節はあっても強さは変わらない材料を選びました。
柱や床板には桧や杉などの国産材を使用しています。日本の山を守り、気候風土に合った家をつくるため、
日本の山の木で家を建てることに価値があります。屋根はいぶし瓦、室内の壁は漆喰。土間には土と石。
建具や壁には和紙を貼りました。自然の恵みの天然素材に包まれているので、
時の経過とともに心地よく古びてゆき、心を癒す豊かな空間をつくります。

世界で、日本で、古くから使われてきた漆喰
5000年も前にエジプトのピラミッドの壁に使われたという漆喰。
古代ギリシアのアクロポリスやポンペイの遺跡にも見られ、
後にルネッサンス時代のフレスコ画へと継承された。
中国では万里の長城を築くとき、煉瓦の接着用に漆喰が使われた。
中国広東省で、石灰をSuk-wuiと呼ぶことから名付けられたという。
日本では戦国時代に城郭建築として、さらに江戸時代以降には富裕な商人の土蔵や神社仏閣、
民家の壁に使われてきた。


その特長は?
漆喰の特長の一番は防火性と耐久性で、それが城郭建築に重用視された理由である。
「火事とケンカは江戸の華」と言われた時代に、漆喰は優れた吸放湿性能を持つので、
温暖多湿の日本で古文書や漆器などの財産を良好に保存することに貢献した。
漆喰は強いアルカリ性なので、カビや細菌が発生しにくい。ベースがカルシウムだから、
動物とのなじみがいい。吸放湿性が高いので、結露やダニ、カビの発生に悩むことも少ない。
漆喰の柔らかな白さの前に立つと、なぜか「素」の気持ちになれる。表面が少しざらっとして穏やかで、
目にやさしく温かい白。純白でありながら存在を主張しすぎないのがいい。

昔から日本人にとって杉は身近な木材です。酒樽、味噌樽、おひつ、たらいは杉で作られました。
建築現場の足場にも杉の丸太が使われ、日本家屋の外壁材は杉の下見板や縦板張りが一般的でした。
杉板は時がたつにつれ黒っぽく変化し、懐かしい昭和の街並みを形成していました。
障子の桟、戸板、塀、木戸。みんな杉でした。今、日本の山林の荒廃を防ぎ環境を守るため、
国産材を有効活用して人工林を活性化することが強く求められています。
大量に伐採の時期を迎えた杉を活用しましょう。

「雨楽な家」の内壁は漆喰塗りか和紙貼りですが、和紙の壁には素朴で上品な色気があります。
正倉院に千年以上も昔の本が保存されていることからも和紙の強さは立証済みで、
凹凸のある繊維の風合いは洋紙にはない魅力です。
和紙には温もりのある自然の美しさや強さのほか優れた機能があります。
湿気を吸放湿する調湿力。光の乱反射による調光力。繊維の隙間の空気層による保温力。
音を分散する吸音力。美しい色づかいができるのも魅力です。
和紙は繊細優美で豊かな表情を魅せてくれます。


畳には優れた吸放湿性があるので、不快な湿気を吸い取り室内が乾燥すれば水分を放出してくれます。
畳には人肌のようなソフトな弾力性があるので、足裏にしっくりなじみます。畳には吸音性があるので、
室内に静寂をもたらします。畳は日本人の皮膚の色に近い反射率をもつので、やすらぎを与えてくれます。
昔ながらの古風な和室は若い世代に敬遠されますが、壁と天井を洋室和室同仕様にしたシンプルな「雨楽な家」の和室は幅広い世代に人気です。新しい畳の香りは心をなごませてくれます。

瓦は、耐水性、耐火性、耐寒性、断熱性、耐久性、耐磨耗性、耐薬品性、吸放湿性、美観性などをあわせ持つ優れた素材です。瓦の原料は良質の粘土ですから有害物質を含まない自然素材。
灼熱の太陽、凍てつく寒気、風に舞う砂塵、潮風の塩分、酸性雨、台風、積雪などの自然の猛威にさらされながらも、高い耐久性を発揮します。いぶし瓦は、光の角度により、
灰色、黒、銀色、時には虹色に変化し、優美かつ荘厳。繊細かつ素朴。端正な甍の波を形成する瓦は、
世界に誇る日本の建築美の象徴です。


ガルバリウム鋼板はアルミニウムー亜鉛合金めっき鋼板で、トタン板(溶融亜鉛めっき鋼板)に比べ三~六倍以上の耐久性があります。その秘訣はアルミニウムと亜鉛の組み合せにあり、
アルミニウムは長期耐久性をもち、亜鉛は自ら溶けて鋼板を錆から守る犠牲防食作用を発揮。
両者があいまって鋼板を錆から守るので、海岸沿いでも高い耐食性を発揮します。
素地のまま使いシンプルな素材感を楽しむもよし、着色してもおしゃれです。
軽量で建物への負担が少ないので活用がさらに期待されます。